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盆栽趣味の広がりと性格(ブックレット近代文化研究叢書18)

盆栽趣味の広がりと性格(ブックレット近代文化研究叢書18)

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早川 陽 (著者)

 盆栽は植物の中で、葉性のよい小さなもの、花や実成の良いものが好まれる。趣味家・栽培家は山木を取り、あるいは種子を蒔き、通風と日光を確保して、夏は日に2〜3回たえず灌水し、冬は室(ムロ)に入れる。人間の生活に引き込まれ、縮小化して自然の単位となった盆栽は、数人がかりで移動させる将軍の大型盆栽であっても、自然界には存在しない文化的な植物となっている。つまり「盆栽」は、時間と空間が縮小された自然美としての造形物であると同時に、ある種の「概念」であり「単位」なのである。大品(大型)から中品(中型)、小さい方はより細分化され、「豆」「雛」「小物(小もの)」「小型」「小品」「ミニ」「掌(手のひら、手のり)」サイズの盆栽世界が寛に広がっている。
 本書は日本画の「景色」に興味をもち、盆栽を趣味とする筆者が、近代に「美術」と「文化」に距離をとることになった「盆栽」とその「趣味」について、考察を進めたものである。(本書より)

初版2024年3月26日
B5判/126頁

はじめに—日本画の景色と盆栽性— 5
序章  7
 1 「近代」「盆栽」「世界」 7
 2 美術と生活文化と盆栽 8

第1章 明治期における盆栽趣味の萌芽 —図書資料の検討から— 11
 1 図書資料からみる盆栽の転換期 11
 2 国立国会図書館オンラインにみる「盆栽」図書 14
 3 明治期の「盆栽」図書資料の考察 58

第2章 昭和初期の盆栽趣味の諸相
 —『趣味大観』(1935)にみられる自然栽培趣味の記述から—63
 1 はじめに 63
 2 『趣味大観』 65
 3 盆栽趣味家 68
 4 組織の形成 87
 5 昭和初期の自然栽培(縮景)趣味の考察 90

第3章 盆栽趣味の広がりと性格
 —雑誌『自然と盆栽』記事にみる1970 年〜1982 年— 93
 1 はじめに 93
 2 戦後の盆栽趣味 94
 3 雑誌『自然と盆栽』(1970 年〜1982年)をみる 98
 4 記事の構成と内容の分類 104
 5 盆栽趣味の広がりと性格 114

終章 119
 1 岡倉天心の「花」の描写 119
 2 本書の結論 120

おわりに 123

発行所: 昭和女子大学出版会

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