「ドヤ街」から読む「あしたのジョー」(ブックレット近代文化研究叢書14)
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あたり
山田 夏樹 (著者)
「あしたのジョー」は連載(一九六八年〜一九七三年)終了後五〇年近くを経た今日もなお、マンガの〈古典〉として愛され、読み継がれている。本稿は作品を精読し、従来の作品評価、著者や関係者の回想、評論・新聞・雑誌記事、近代文学作品、研究論文にあたることで、諸家の視点を紹介しながら、あらためて本作の〈今日的魅力〉を探るものである。(本書より)
はじめに
序章 同時代評の限界—反体制の枠組みを越えて
1 山谷の暴動とジョー—力石登場以前
2 左右のせめぎあい—〈実行〉の場としての「ドヤ街」
3 ジョーの「あした」とは—「ドヤ街」と可能性
第1章 比喩としての肥大化した身体—「壁」解体の試み
1 ボクサーとしてのジョー—手段と目標
2 ボクシングとは—戦後とスポーツ
3 戦後日本への批判意識—梶原一騎の「個人主義」
4 金は「力石に おとる」のか—「立ちあが」り続けること
5 「過去」と「あした」—力石の再浮上
第2章 変化する「ドヤ街」—「過去」との対峙
1 金の「過去」と現在—「地獄」をめぐって
2 「引き揚げ」と現在—ちばてつやの「非定住者感覚」
3 描きかえられる「ドヤ街」—ちばてつやとジョー
4 「焼跡のイエス」の後継者たち—「少年」とジョー
5 「なみだ橋」と懸け橋—「チビ連」との関わり
第3章 〈人間〉化するジョー—戦後を問う姿勢
1 「あした」の力石—マンモス西との差異
2 ボクシングによる描きかえ—「あした」と現実
3 「クロスカウンター」とは—先行者との交わり
4 力石の死—「とことん打ち合うこと」の両義性
5 グローブのゆくえ—ジョーと葉子
おわりに
発行所: 近代文化研究所